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執筆者の写真木村幸比古

新年のご挨拶

 


あけましておめでとうございます。


 出羽国楯岡城下(山形県村山市)に二柱の神を祀る熊野神社があります。

 一柱はスサノオノミコト、のちに一柱の剣神民治丸が合祀されています。この神社の境内で今から四百年前、父の仇のため剣の修行に明け暮れる少年がいました。幼名は民治丸のちの、林崎甚助源重信です。神社に籠り祝詞を唱え、瞑想し、潔斎で身を清めて百日目にご神託があり、神妙秘伝の抜刀居合を賜りました。この業前をもって父の仇討ちを叶え、さらに各地の名だたる剣客と立ち合うため修行の旅に出、名だたる剣客に居合の妙技を伝えました。林崎の腰の刀が鞘から抜き放たれると勝利し、いつしか居合の祖とあがめられました。


 林崎甚助を流祖とする無双直伝英信流を極められた子爵・山内豊健先生の御歌には 「わが道の 居合一筋 雑談に 知らぬ兵法 事をかたるな」とあります。


 豊剣会は山内豊健先生の訓え、先人の言葉を素直に受け止めて励めば、品格のある業前になっていく。議論するよりも、刀を振れば刃筋がとおり、真の居合が生まれてくる。自己流を陥らないためには、大会、講習会へ積極的に参加し、研鑽することが正しい修行のあり方です。


 豊剣会の本部道場がある三ノ宮神社は祭神スサノオノミコトで、龍を退治する大絵馬が奉納されています。この絵馬をながめると先人の修行の深さをかんじます。


 今秋には4年に1度の山内派演武大会の年であります、師の言葉を信じ会員と共に真摯

に稽古に取り組んでまいります。


正月元旦

豊剣会会長 木村幸比古

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